労働安全衛生法関連の規則改正について(9)

広告
「スポンサーリンク」

今回は、「SDSの情報などに基づくリスクアセスメント実施義務」において実際にリスクアセスメントツールを使ってやることは何なのかということ一つのツールを使ってやってみたいと思います。

では行って見ましょう。

広告

使うツールは、厚生労働省版コントロール・バンディング

使うツールは最も簡易にできるといわれている、厚生労働省版コントロール・バンディングです。

管理人も実際のツールを使ったことは今までないので、マニュアルを読みながらになります。
そして工程を一つモデルとして考えなければならないなりませんが、これは適当に考えることとします。

リスクアセスメント支援ツールのあるページに行き、厚生労働省版コントロール・バンディングを見つけて概要説明を読みましょう。

するとコントロール・バンディングは、

  • 化学物質の健康有害性についての簡易なリスクアセスメント手法である
  • ILO(国際労働機関)が、開発途上国の中小企業を対象に開発した
  • 有害性のある化学物質から労働者の健康を保護するために、簡単で実用的なリスクアセスメント手法を取り入れている

化学物質管理手法だということが書かれています。

また、厚生労働省版コントロール・バンディングが、日本で簡単に利用できるようにWEBシステムで開発されたことが書かれています。

ツールは、以下の二つがあります。

  • 【液体または粉体を扱う作業(鉱物性粉じん、金属粉じん等を生ずる作業を除く。)】
  • 【鉱物性粉じん、金属粉じん等の生ずる作業】

コントロール・バンディングの特徴と手法して以下のものが挙げられています。

特徴

  • 労働者の化学物質へのばく露濃度等を測定しなくても使用できる。
  • 許容濃度等、化学物質のばく露限界値がなくても使用できる(粉じん等が生ずる作業は値設定が必要)。
  • 化学物質の有害性情報は必要。

手法

  • 作業条件等の必要な情報を入力すると、化学物質の有害性とばく露情報の組み合わせに基づいてリスクを評価し、必要な管理対策の区分(バンド)が示される。
  • バンドに応じた実施すべき対策及び参考となる対策シートが得られる。
厚生労働省版コントロール・バンディング説明HPより引用

これを見るとばく露濃度や許容濃度を知らなくても有害性情報さえあればリスクアセスメントができるというのが良いところですね。

実際に厚生労働省版コントロール・バンディングを使ってみる

では実際にやってみましょう。今回は、【液体または粉体を扱う作業(鉱物性粉じん、金属粉じん等を生ずる作業を除く。)】を使用します。

そして、どんな工程をリスクアセスメントするかということについてですが、管理人は既に実務から離れて何年もたちますし、工程でどんな化学物質や設備を使っていたかも正確には忘れています。

皆さんは自社の工程を見てやっていただければいいのですが管理人はそうもいかないので、自宅でプラモデルを作るという工程にしてみました(それでいいのか?)。
使う化学物質は、プラモデル用接着剤です。塗料もあるんでしょうが、今回は接着剤で組み立てる工程ということにしたいと思います。

では、先ほどのページからコントロール・バンディングのツールへのリンクを押してはじめましょう。

STEP1 リスクアセスメントを行う作業

リンク先に飛ぶと以下のような画面が現れます。

リスクアセスメントを行うのに必要な4Stepを順番に必要事項を記入する形になっています。

まず最初のStep1は、リスクアセスメントを行う作業を決める工程です。右側に入力するためのガイドもありますし、入力必須項目にはも付いているので親切設計ですね。

必要な項目を入力しましょう。プラモデル用接着剤には、スチロール樹脂の他には溶剤として、

  • シクロヘキサン
  • 酢酸ブチル
  • アセトン

が使用されています。

作業内容は、最も近い内容と思われるものを選択しました。作業者数は、1人なのですが最小の選択肢が10人未満です。化学物質数は、スチロール樹脂を除いた3つの溶剤を選択しています。

そして次へボタンを押します。

STEP2 

するとSTEP2の画面に移行して以下のような画面が現れます。

この画面においても右側には、ガイドが表示されます。

この画面を入力するためには化学物質とGHS分類区分や沸点などSDSから情報を取ってくる必要があります。

とはいえ、普通使用されているような化学物質については、検索して入力を簡単にすることができます。

まず検索ボタンを押すと、以下のような検索画面が現れるので、知りたい化学物質名を入力します。すると候補物質が現れます。今回はアセトンの例でやってみています。

候補物質の中からアセトンを選択します。

すると政令番号:化学物質名称の欄にアセトンが入力されます。ここで、反映ボタンを押すと、次の画面のようにGHS分類区分が自動入力されます。

ただ、沸点や取扱温度、取扱量単位は入力されません。沸点は自動で入力されてもいいような数値ですが入らないようですので調べて入力します。

取扱温度や取扱量単位は自分たちの工程なので分かるはずです。

今回の場合だと以下のようになります。

化学物質数で3を入れているので、物質の入力画面は3つ示されますので、酢酸ブチル、シクロヘキサンについても同様に入力します。

また、GHS分類区分の欄に選択というボタンがありますが、ここを押すと以下の図のようにGHS分類区分を入力する表が開きます。ここを開いて、入手してあるSDSを見て分類区分を入力することもできます。

検索のリストにない物質である場合にはこちらを用いなければなりません。

このようにして入力をすべて終了したら、一番下にある次へボタンを押します。

STEP3 化学物質のランク及びリスクレベル

すると、STEP3の化学物質のランク及びリスクレベルの画面に遷移します。

以下のように作業のリスクレベルと個々の物質の有害性ランク、揮発性ランク、取扱量ランクおよびリスクレベルが表示されます。

ここでは、その内容を確認しましょう。下にある次へのボタンを押します。

STEP4 作業のリスクレベルと対策シート

すると以下の画面が現れ、作業のリスクレベルと対策シートが表示されます。

今回の場合ですと、リスクレベルは3で目や皮膚にもリスクがあるためSの表示もなされています。

そしてリスクアセスメントを行った結果のレポートがpdfで作成されていますので、リスクアセスメントを行ったという履歴としてDLしておくということになります。

ただ、このレポート、見ると分かるのですが、いつやったかの日時すら入っていないレポートですので、必要項目を書き入れないと使い物にならないかもしれません。また、当然ですがリスク低減対策のやり方しか示されていません。

今回の例のアセスメントでは、

リスクレベル3
囲い式局所排気装置及び封じ込めの実施
1)工程の密閉化
2)囲い式局所排気装置等の設置と維持管理 など
かつリスクレベルS
皮膚や眼に対する保護具の使用 など

を実施しなければならないという結果が得られました。
いや、普通プラモデル作るとき、囲い式局所排気や保護メガネに保護手袋なんてやらんよな。

もちろん、密閉したような部屋でやったら体にものすごく悪いです。換気の良い場所、開放性のある場所で空気の入れ替えを頻繁に行いながら作業しましょう。

ですが、コントロール・バンディングではこのような結果が得られます。通常、コントロール・バンディングではリスク評価は高めに出るといわれています。

ですので、前回紹介し、出来ればそういうものを使ったほうが後が楽という中~上級のツールを使ったほうが良いかもしれません。

次回は他のツールに関する説明?

今回は、最も簡単な部類のリスクアセスツールのコントロール・バンディングでリスクアセスメントの手順を実際やってみました。

次回は、他のリスクアセスメントツールの説明だけでも少し行おうかなと思います。その後は、また労働安全衛生法関連の規則改正の他の内容に移る予定です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました