2022年12月6日に、chemSHERPA HPに「任意報告推奨物質の規則の制定」という案内が掲載されました。
何じゃこれは?ということで案内が書いてあるHPに飛んでみると何やら書いてあります。
とはいっても、現段階では管理人もこれはどういうことなの?という状態です。
まだ、推測の域を出ない(管理人の日本語読解能力の欠如によるのかもしれません)のですが、情報伝達上は影響が出そうなので、一応どういうことなのか考えてみました。
まだ正式に規制になる前の物質の情報伝達に関する規定
この情報伝達は、当たり前なのですがchemSHERPAを用いる情報伝達のみに適用されるもので、それ以外の情報伝達に適用されるものではありません。
もっとも、最近は規制前の物質に対する調査も多く行われているという話は聞きますが、それはchemSHERPAのものと区別されます。
記事には以下のような文言が載っています。
「管理対象物質以外に管理対象基準の草案段階の物質であって、JAMP会員からの申請に基づきJAMPで調査必要と指定した物質は、任意調査としてchemSHERPAの書式で情報を伝達できるように、「chemSHERPA任意報告推奨物質の選定と調査に関する規則」を定めました。」
この文章から読めることは、任意報告推奨物質は、JAMP会員の申請によるとありますので、これを提案できるのはJAMP会員だけということになります。
また、草案段階の物質とあるので、正式に規制化されていない物質も調査の対象になると読めます。
ただし、任意調査とあるので必須項目ではないことがわかります。
なんか、出せ、出さないでもめそうだなー。
さらに以下の文章が続いています。
「対象物質が指定されましたらWeb等にてお知らせしますので、BtoBの調査依頼に対してご協力をよろしくお願いいたします。」
この文章から「調査には協力しろ」というように読めますね。
でもまだ草案段階の物質なんですよね。うーん微妙だなあ。
任意報告推奨物質とは?
上に書いた文章の後に、任意報告推奨物質とはどういうものなのかと調査方法について書かれています。正確にはHPを見てください。
任意報告推奨物質とは以下のような物質だと書かれています。
「chemSHERPA管理対象基準のうち法規制に掛かる基準において(現在LR01からLR09)、その草案段階の化学物質が当該基準に追加される以前に、サプライチェーン上の必要な範囲で含有情報の調査を任意で行うことが推奨される化学物質として、JAMP会員からの申請に基づきJAMPが選定したものです。」
上でも述べましたが、JAMP会員しかこの任意報告推奨物質を申請できない規定になっており、JAMPが選定する物質になります。ある意味会員メリットなのかもしれませんが、考えられる範囲は管理対象物質のもとになる法規制に依存するので、限定されることになります。
調査方法は以下のように書かれています。
「対象物質が指定されましたら、調査はBtoBの調査依頼に基づいて必要な範囲で、chemSHERPAの定期更新(約2回/年)の調査時期に合わせ任意で行います。また、その調査は、所定の書式(chemSHERPA-CI、chemSHERPA-AI)を用いて実施します。調査期限は原則1年とし、6か月ごとに見直します。」
この文章だけでは、具体的にどう調査をやるのかよくわからないですね。
ツールとして、chemSHERPA-CI、chemSHERPA-AIを使うのは流石に分かります。
ですが、
- 任意報告推奨物質がWEB上のみに存在するのか、ツール上にリファレンスが存在するのか
- 調査はchemSHERPAの定期更新(約2回/年)の調査時期に合わせ任意とありますが、調査時期は必ずしも定期更新の時とは限らないし、そもそも定期更新のたびにchemSHERPAを提出させている、もしくはしている企業はどれほどあるのか?
- 調査期限は原則1年とし、6か月ごとに見直しとありますが、法規制への移行に伴う部分は、リストを改訂してもらうとして、返答が返って来ない状態になっている時、物質の改定になってしまった場合どうするのか。
- 任意報告なので、最悪返答しなくてもよいと受け取れるが、出せ出さないでもめるだろう、その時はどういう判断をするのか。さすがに「BtoBの個社間で決めてください」は、規定まで作った以上ないんじゃないの?
等々、今回の発表だけではわからない部分も沢山あります。今後、実際の規定が発表されれたら、見ていきたいところです。
任意報告推奨物質になりそうなもの
では、どんな物質が任意報告推奨物質になりそうなのか考えてみたいと思います。
あくまで管理人の予想ですので、当たらなくても文句言わないでね(^^;。
- REACH規則 SVHCの候補物質(認可対象候補物質の候補物質)、SVHCの候補としてパブリックコンサルテーションにかけられている物質、今でいえば、第28次SVHCの候補物質9物質(コンサルテーションの締め切りはとうに過ぎたけど)ですかね。
- REACH規則 制限物質として審議されているもの
- 化審法において第1種特定化学物質や欧州のPOPs規則の対象物質として審議がされているもの
これらは、POPs条約を受けて規制化の話が進むので、実際にはどの時点で任意報告推奨物質になるか微妙ですね。
これらの物質が任意とは言え報告推奨物質になると、調査はかなり面倒になりそうな気がします。いろいろとサプライチェーン上も混乱も起きるかもしれません。
また、これが実際いつから始まるのか、どういう規定なのかなど具体的にはまだわからないので続報を待ちたいと思います。
最速でいけば、次回のchemSHERPAの改定に間に合わせていろいろ準備するのかな。
コメント
いつも拝見させて頂いております。
>任意報告推奨物質になりそうなもの
これらの物質は任意書式では良く問合がありますので、chemSHERPAでもという要望は理解できます。
弊社の製造品では追加されても特に影響は出ませんが、中には対応が大変な会社も出てきそうですね。
パンチ、コメントありがとうございます。管理人です。
そうですね、何を作っているかによって影響の大小は結構差があるかもしれませんね。
個人的には、出せ、出せないのもめ事がおきないかが一番の心配です。
いつも有益な情報発信をありがとうございます。
困ったとき、悩んだときには拠り所にさせていただいております。
この「任意報告推奨物質の規則の制定」は今年のchemSHERPA普及度調査にあった質問
「4.規制候補物質の収載(暫定策)について」の結果ってことですよね。
回答結果では「候補物質には対応しない、すべきでない」が多数だったはずなのにー
もう、見えます。「出せ、出せない」のもめ事に巻き込まれる自分の姿が…
koma様、コメントありがとうございます。管理人です。
おっしゃる通り、普及度調査にあった質問を具体化した形でしょうね。
koma様は、
回答結果では「候補物質には対応しない、すべきでない」が多数だったはずなのにー
と書かれていますが、普及度調査の資料のP.20をご覧ください。一番多い回答は、わからないでこれが半数弱です。
「候補物質には対応しない、すべきでない」は、その他の意見(回答の5%強)の中のトップなのです。
なので、JAMP側としては2番目に多い、規制候補物質をchemSHERPAホームページで公開し、成分情報の任意報告物質で報告してもらう
の手段をとったのだと思います。
それでいいのかどうかは、疑問ではありますが。
今回の記事は、起こるであろう混乱を考えてみた結果です。
いつも拝見させていただいております。
先日お客様開催の説明会に参加したところ、
不含有保証書レス化のために、知りうる可能な限りの成分情報を伝達してほしいとの要望を受けました。
具体的には、任意報告物質の物質名称、CAS番号を全て記載、各部品毎の含有率合計値を100%まで全て記載、という内容です。
今後これがスタンダードになってしまうと、仕入先に依頼するハードルが更に高くなってしまうという印象です。
SV83様、コメントありがとうございます、管理人です。
うーん、確かにおっしゃることがスタンダードになるとすごく大変そうですね。何のために管理対象物質を決めたかどうかわからない。
力関係で一社じゃどうにもならない場合もありますもんねえ。ただ、別に取引停止とかじゃなくて今はお願いレベルですよね。
それと相手側には不含有保証書レス化ということは、あんたたちも楽になるでしょという建前が一応あるんですね。
でも、それ情報伝達と本質的に関係ないような、、、。
まあ、知りうる可能な限りなので、上流から帰って来なかったら適当に埋めちゃうってどうですか?(^^;ダメ?だめだろうなあ。
後は、とてもできそうにないから御社の名前を使わせてねと言って説明先を悪者にしちゃうとか?で、クレーム来たらそのまま相手に言うとか(工数がばかにならんが)。
できたら説明会を開いた会社をこっそりお問い合わせか当事務所へのメールにて教えていただけるとうれしいです。だから、どうなるわけじゃないですけど。