遵法判断情報画面にはどんな情報が書かれているの(1)?chemSHERPA超入門(その6)

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前回の成分情報画面にはどんな情報が書かれているの(2)?chemSHERPA超入門(その5)までは、2回ほどchemSHERPA-AIの成分情報画面の解説でした。

今回から遵法判断情報画面の見方の解説になります。

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遵法判断情報画面を開く

図1をご覧ください。これは、chemSHERPAのHPからDLしたsampleデータのswitchのデータを取り込んだ製品情報の部分の画面です。

chemSHERPA-AI(switch)の製品情報部分

ここで、成分の隣に遵法の表示という項目があります。ここのボタンを押すと遵法判断情報画面に遷移します。

注意しなければならないのは、基本情報画面のエリアのIEC62474にチェックが入っていないと遵法判断情報画面は開かないということです。

遵法判断情報画面に無事に遷移できると以下のような画面が立ち上がります(図2)。

図2 遵法判断情報画面

画面下のスクロールバーを見ると分かりますが、遵法判断情報画面も横に長いです。スクロール後の状態を図3に示します。

図3 遵法判断情報画面(スクロール後)

遵法判断情報画面には何が書いてあるのか

遵法情報判断画面には何が書いてあるのでしょうか?

まず、遵法判断情報画面の上の方には、基本情報画面で入力された製品名や製品品番が書かれていますが、遵法判断情報画面に特有なものとして、対象エリアと含有総合判定という欄があります。

図4 遵法判断情報画面上の方の部分

ここで、現在のchemSHERPAでは、対象のエリアは一つしかないのですから、対象エリアには必ずIEC62474が書かれます。

次に含有総合判定ですが、遵法判断情報に合致する含有物があると含有判定の項目にYと入力するのですが、それが1個もない場合も当然あります。すると含有判断情報画面には何も数値などが書かれず、含有判定が全てNになる場合があります。

総合含有判定は、1個でも含有判定でYがある場合はY、1個もYが無く全ての判定がNの場合は、Nと書かれます。

次に、その下に173行の含有判定をするべき物質や物質群とその条件が書かれています。

図5を見てく下さい。これは、図2の一部分、対象物質(CAS番号/物質群ID、物質/物質群)と判定対象、IDの部分です。最新Ver.では1~173まであります。

物質群にはCAS番号がないのでSGxxxというような名称が付いています。実際この部分で普通に分かるのは、物質/物質群の項目のみで、残りはIDのような番号なのである意味見ても仕方ありません。

対象判定というのは、成分情報を入力した後に成分→遵法判断変換を行った際、成分として入っていた物質/物質群に対応していたものにチェックが入れられます。

図5 対象物質、判定対象、ID

今回、何か対象となる物質があったとしましょう。この場合、成分情報をあらかじめ入力し、成分→遵法判断変換を行うと、対象物質が入っていると判定対象にチェックが入ります。物質は、判ったとして、遵法判断するためにはほかに二つの要素が必要です。

それは、報告用途報告閾値です。

図6は、図5の更に右側にある部分、参照法規制、報告用途の部分を示したものです。

図6 参照法規制と報告用途 

参照法規制は、報告用途や報告閾値がどの法規制を参照に作られているかを示しています。

例えば、図6を見ても報告用途として、全製品のほか織物/皮革製品、積層プリント配線基板などと書かれている項目もあります。

例えば、4行目の報告用途に織物/皮革製品と書かれている場合、この物質群が、製品の筐体に使われていても報告する必要はないことになります。

図7 報告閾値

図7は、更に右側の報告閾値の部分を拡大したものです。

ここには、報告すべき閾値が書かれているのですが、結構判り難いです。まず、閾値として意図的添加とか均質材料中のカドミウムの0.01重量%(100ppm)など、知識がある程度ないと何を言っているのかわからないものもあります(勉強しましょう)。

次に報告レベル:というものも書いてあります。製品とか材料とか成形品とかですね。これは、閾値を算出するときの分母となる部分を示しています。

例えば、一番上の物であれば、製品にアスベスト類を意図的に添加していたら、量に関わらず報告しなさいという意味になります。

このように、物質/物質群と報告用途と報告閾値によって、含有判定を行い条件に合致していたら含有判定の項目にはYがはいっていることになります。

実際には、入力側ではYを入れるとはじめて含有率や含有量、用途コードなど図3で示したような項目が自動入力されたり、場合によっては自分で入力することになります。

従って、データを見る側としては、Yが入力されている部分のみを注意してみればよいことになります。

図3の含有判定の列には、Yのみ表示というチェックボックスがあります。ここにチェックを入れるとYの行のみを表示してくれるようになるので便利です。

そして、物質と用途と閾値、並びに法規制をチェックすることになるのです。

成分情報画面で存在していても、遵法判断情報には出てこない物質もある

遵法判断情報画面で設定されているエリアは、現在IEC62474のみです。この規格は、IEC(International Electrotechnical Commission)という電気電子系に関係した技術の国際的な標準化団体です。

ですので、ここで決められて開示を要求している物質というのはchemSHERPAの成分情報における管理対象物質全てではありません。電気電子系で使用しない物質は最初から除外されています。

このような物質は、当然遵法判断情報画面には最初から存在しません。

従って、「成分情報ではあったのに、遵法判断情報にはないな」ということは起こりえます。

次回も遵法判断情報画面の残りの部分(少ないけど)

次回も遵法判断情報画面の説明です。データを受取る側として見るとほぼグレーアウトしている部分なので、超入門ではないのかもしれませんが、一応ちょっとだけ。

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コメント

  1. 通りすがり購読者 より:

    遵法判断は旧JGPSSI相当の内容かと思いますが
    なかなかに見づらいですよね(自分だけ?)

    閾値保証に関して、書面でもらう際、
    閾値が小さい為、意図的不使用のみ保証というメーカーがありますが、
    chemSHERPAの遵法判断は、N回答なのでなんだかなと思う時があります。

    • OFFICE KS より:

      通りすがり購読者様、コメントありがとうございます。管理人です。

      遵法判断情報は、見づらいのは確かですね(^^;。

      閾値の件は、実際のところ測らないでやるとするとそう言いたくなってしまうもしくは回答したくなるメーカーの気持ちはわかります。
      というより、そんな低い閾値は、測定法だってまともに確立、確定してるのか?という話になってしまいますし。
      IEC62321のRoHS規制物質の測定法だって、決めるの大変だったのに、、、。

      もちろん、その物質が入ってくるリスクがあると判断できる場合は別です。リスクがあるのに、意図的不使用のみというのはメーカーの怠慢ですからね。

      その辺は、自分だったらまともに回答できるのかということも考えて、判断してあげるしかないと思うんですけど。

  2. 毎日お仕事 より:

    『もちろん、その物質が入ってくるリスクがあると判断できる場合』とは、どういった場合のことでしょうか?

    弊社は、材料を購入して印刷、焼成や組立してるのですが、材料メーカーからは、含有無しの回答しか帰ってきません。特に今話題のpfaSなど。

    本当に調べて回答しているのか(上流へも調査してるの?)毎回不安なのですが、こちらとしては知見もなく、つっこみどころも無いのが実情です。(使用用途例が分かれば、リスクがあるのかと参考にはさせてもらっていますが…てん)

    設計上、物質の意図的な使用は有りません。とコメントされている方が信頼できるのですが?

    • OFFICE KS より:

      毎日お仕事様、ご質問ありがとうございます。管理人です。

      「もちろん、その物質が入ってくるリスクがあると判断できる場合」のところに突っ込むとは流石ですね(^^;。
      材料メーカーからものを買っているのであれば、当然SDSも貰っていると思います。そこに何が書いてあるかは一つのヒントになると思います。

      それと御社の今までの経験知です。過去の経験や知識になるわけですが、それは、通常開発や設計の方が持っている場合が多いと思います。
      御社が作っているものにどんなものを使っているのかという知識は、御社が一番持っているのです。

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