「条約、法規いっちょかみ」シリーズの9回目です。
今回は、日本の法律、労働安全衛生法のお話です。
「えー、REACH規則の続きは?」という声が聞こえてきそうですが、このシリーズはいっちょかみですので、その辺りはランダムです。
日本の法律なので、サクっと終わらせてしまいます。なんせ、いっちょかみですから。
労働安全衛生法の目的は、労働者の安全と健康の確保と快適な職場環境
労働安全衛生法の目的が書かれている第一条は、以下のように記述されています。
第一条
この法律は、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)と相まつて、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。
いろいろ前振りが書いてありますが、
- 労働者の安全と健康を確保
- 快適な職場環境の形成
が目的になっていることがわかります。
ということで、労働安全衛生法にとっては、化学物質の管理はその一要素でしかありません。IT企業のエンジニアがいわゆる化学物質を使うとは思えませんが、労働安全衛生法の対象には当然なります。
労働安全衛生法における化学物質
労働安全衛生法における化学物質の定義は、第二条の三の二に書かれています。
三の二 化学物質 元素及び化合物をいう。
うーん、あっさりしてますな。わかり易いと言えばそうかもしれませんね。余計な修飾や例外規定が書いてませんからね。
化学物質に関する規制については第五十五条から
労働安全衛生法は、結構いろいろなことが書かれているので、章立てになっています。
化学物質に関する規制は、第五章の機械等並びに危険物及び有害物に関する規制の第2節 危険物及び有害物に関する規制に書かれています。
この項目のある場所は、労働安全衛生法の第五十五条から第五十八条になります。
ここには、製造の禁止(第五十五条)、製造の許可(第五十六条)、表示等(ラベルのことです)、文書の交付等(SDSのことです)、第五十七条第一項の政令で定める物及び通知対象物について事業者が行うべき調査等(リスクアセスメントのことです)、化学物質の有害性の調査(第五十七条の(一)から五)、国の援助など(第五十八条)が書かれています。
実際の法文はe-Govに行って、法令検索で探してみてください。
労働安全衛生法関連の改正に関して
「化管法の政令改正:ごくたまには事業所の化学物質管理」で記事にしたように、労働安全衛生法における化学物質管理についても改正される方向だと書きました。
実際には、下位法令の改正になりますが、一部はすでに行われています。
労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令の施行が2022年2月24日に行われました(基 発 0 2 2 4 第 1 号)。あまりやりたくありませんでしたが、WEB上の記事が見つけられなかったので直リンクしています。
特に、ラベル、SDS交付、リスクアセスメントすべき化学物質は、234物質追加されています。施行は、来年の4月1日からです。
更には、現時点でもう一つ、労働安全衛生規則等の一部を改正する省令がパブリックコメントにかけられています。こちらもe-Govで確認できます。最も締め切りが、2022年3月18日ですが。
こちらの内容も、あまり日を置かずに改正されると考えられます。
ラベル、SDS、リスクアセスメントの詳細は、セミナー等で
上に書いたように、労働安全衛生法では労働者への危険性に鑑みて、製造禁止の物質や製造が許可制になっている物質が存在します。これらの物質は、非常に危険であるがゆえに現状厳しく管理されています。
そして、それ以外の物質でも危険性がある物質については、ラベルやSDS交付、リスクアセスメントを行うことが要求されています。
その中身は、それだけで丸一日のセミナーが開かれるほどの内容になります。いっちょかみの内容ではありません。
いろいろな団体や協会がセミナーをやっていると思いますので、そちらを受けてください。
管理人がお世話になっている、JEMAIでもやっています。
コメント
いつもありがとうございます。
この内容見たかったのでとても見つけた時
とてもうれしかったです。
製品含有化学物質と事業所の化学物質管理とが
入り乱れる(日本語あってますか?)で少し
困っています。
条約、法規いっちょかみ シリーズ楽しみにしています。
ありがとうございます。
しょう様(本名が書かれていたので、適当に直しました)、コメントありがとうございます。
管理人です。
楽しみだと言っていただけるとやる気が出ます(^^)。
確かに、製品含有化学物質と事業所の化学物質管理とが入り乱れる場合がないとは言えないですね。
でも、御社の製品上に残るか残らないかで考えると多少は、考えやすくなるかもしれません。
管理人さま
コメントありがとうございます。
なるほど! 「製品上に残るか残らないかで考える」
今まで深く考えていなかったことに反省し、教えていただいたことに
感謝して今一度 管理内容を考えてみます。
いつもありがとうございます!
あと、名前お気遣いありがとうございます。
気がついていませんでした。
今後気を付けます。
しょう様、お返事、コメントありがとうございます。管理人です。
少しでもお役に立てば幸いです。