2021年8月25日、chemSHERPAのHPに2021年6月度 chemSHERPA普及度調査結果の公開のお知らせが、発表されました。
chemSHERPAの利用の現状がわかる資料だろうということで、早速管理人もDLして内容を見てみました。
管理人なりの、理解と感想を書いてみたいと思います。ですので、今回の記事はあくまで管理人の考えなので、正しいとは限りません。参考程度に見てください。
基本情報
この調査は、アンケート形式で行われていますので、まずは、その基本情報です。
あまり詳細を書くと著作権に引っ掛かりそうなので、色々省略。
1.アンケート期間:2021年6月16日~25日
2.アンケート送付先:JAMP会員、委員、chemSHERPAダウンロードユーザー(直近1年間)約5万名
3.有効回答数:3,645件
chemSHERPAダウンロードユーザーの重複チェックを行ってこの数であれば、 chemSHERPAは、かなりつかわれているスキームになっていることがうかがえます。
有効回答数が7%程度というのは、この手の調査としてはまあまあだと思います。
また、回答者の85%は、JAMP会員ではなく、川中企業が6割を占めるということも書かれています。
また、回答者の中で従業員数が300人以下の企業が7割を占め、中小企業にも普及してきていると思われる結果となっています。
1年前の調査結果との変化
次に、1年前と今の化学物質の情報伝達に関する質問がされているのですが、その結果を大まかにまとめると次のようになります(詳細は、資料をDLしてお確かめください)。
- JAMPのAISやMSDSplusやJGPSSIの旧フォーマットは、chemSHERPAに移行している
- 自動車業界に関係するフォーマットでは、IMDSへの移行は進んでいるが、JAPIA統一シートはまだ使われている。
- 不使用証明書や独自様式はむしろ増えている
この結果は、ある程度予想できないことではありません。
chemSHERPAのデータだけで自社のグリーン調達基準がすべて満たせるのかという観点と、chemSHERPAのデータが保証を与えるものではないことが利用ルールに書かれている以上、やり方によって個別の契約文書となりえる不使用証明書や不使用保証書などを別に考える企業があるのは、普通だと思います(もちろんすべてではありません)。
更に、chemSHERPAの授受に関して言えば、自社がchemSHERPAの依頼を受けていると答えた企業は97%であるのに対し、自社がchemSHERPAで調査すると答えた企業は86%になっています。
この差分は、何とも言えませんが、川中、川上に行くほどchemSHERPAでない状況が生まれがちなのではないかと管理人は推測しています。理由は、沢山の企業からの調査依頼があるため、chemSHERPAだけでは、不十分な部分が出てくる可能性が高くなると思われるからです。
今後の方向性についてのアンケートがある
今回のアンケートの特徴として、chemSHERPAが国際標準の自動車互換様式に対応した場合という、仮定の質問が導入されています。
多分、自動車業界との話し合いが行われているんだろうとの推定は、当然ですが成り立ちますね。
自動車も電気機器の塊になってきていますし、電子電機機器も自動車に積まれる場合が多くなっているという背景があるのだと思われます。
もし自動車互換様式に対応した場合は、不使用証明書や独自様式が減るという結果が得られていますが、無くなるわけではありません。
それでも減った方が楽にはなると思うので、互換様式にしたことによる手間の増加との軽重判断になりそうです。
自動車互換様式になっても、不使用証明書や独自様式が無くならない理由の調査では、以下のような理由があるとしています。
①顧客からの要求が残る
②取引先にとって難しい
③chemSHERPA海外取引先が対応してくれない
うん、まあそうでしょうね。
chemSHERPAに対する指摘事項
chemSHERPAに対する指摘として最後に、
chemSHERPAの規制物質収載タイミングが遅く、不使用証明書での調査が発生している(31件)
と特記事項のように書かれています。
管理人的に言えば、この指摘は、任意団体で委員会制でツールや化学物質を作ったり決めたりしている人たちには酷だよなあと思ってしまいます。
これは、主にSVHCことを言っているのだと思うのですが、新たなSVHCが決まってから、物質の検証を全部やって、ツールを修正することを考えると、普通に1ヶ月程度はかかりそうです。
SVHCの候補物質がコンサルテーションにかかるんだから、その時から検討しておけばいいじゃないかと思われる方がいると思うのですが、多分それやってます。
それに半年に一度のVer.upとSVHC以外の規制にも目を配らなければならないので、それなりに大変だと思うわけです。
もし、SVHCの調査のためだけに不使用証明書の調査をしているのであれば、なんか工夫の余地はないのかなあと考えたりしてしまいます。
再度書きますが、今回の内容は、アンケート結果を見ての管理人の理解や感想ですので、そういう考えもあるという感じで見てくださいね。
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