どうも管理人です。
今回は、製品含有化学物質担当になっちゃった人のための超初級化学講座(その3)です。
製品含有化学物質担当になっちゃった人のための超初級化学講座(その2)では、周期表の基本を紹介しました。
製品含有化学物質担当になっちゃった人のための超初級化学講座(その3)の今回は、有機物と化学物質の名前および数の数え方の基本です。
前回も書いたのですが、一応もう1回書いておきます。
- こんなのいらないと思う人は確実にいるはず⇒このシリーズ読む必要はありません
- 正確性に欠けるだろという突っ込み⇒大雑把に理解していただくことを目的にしています
- 何だかよくわからない管理人のたとえ⇒おっさんのセンスなんてそんなもん、寒くたって知りません
- これでも難しいよ⇒その1で紹介したサイトなどで勉強してね
- 真面目に勉強したいんです⇒サイトや本は紹介するので、そこでがっつりやってください
超初級化学講座(その3)の内容:有機物と名前および数え方
今回の内容をちゃんとやろうとすると、本が1冊できます。でも、管理人にはそんな知識はありません。本当に基礎的なことだけです。
有機物は、炭素の化合物全般の総称
有機化合物(有機物)は、現在では一般には炭素を含む大部分の化合物の総称です。もともとは、物質の区分法の一つで生物から得られる物質を指していました。それとは対照的に鉱物から得られる物質が無機化合物(無機物)だったわけです。
過去に有機物とされていたものが人工的に合成できるようになって以来、この区別は便宜上のものになっています。このあたりの話は、ネット上にころがっているので見てください。(えっ!ダメ?そのぐらい自分でやろうよ。)
一般に、一酸化炭素や二酸化炭素、炭酸塩などは有機物に含めません。ですが、有機物が合成できることがわかって以降、この分野は非常に発展することになります。
今では有機化学は一つの非常に大きい分野を形成しています。
例えば、医薬品としてよく知られるアスピリン(バイエル社の商標名)は、化学物質としてはアセチルサリチル酸のことです。
なんで化合物ってあんなにわけわからん名前がついてるのか?
製品含有化学物質担当にいきなりなった人がもう一つ面食らうであろうと思うのは、化合物の名前だと思います。
似たような名前がいっぱいあるし、略称は多いし、同じ物質なのに違う名前で呼ばれてたりするし、
「なんでこんなにややこしいじゃー(怒)!」
とちゃぶ台返しをしたくなるかもしれません。
で、結論から言っちゃうと、
「解はない!」
だと思います。今んとこ諦めてください(^^;。
というのも、化学物質を体系的に名前を付けることが正式に始まったのはIUPAC(国際純正・応用化学連合)ができるとともにだと思うのですが、20世紀に入ってからです。
それまでは、色々な名前が付けられ慣用的に使用されていたし、そのほうが今でも使いやすい場合もあるので、そのまま使用されることも多いです。
多様性が認められていると言えば聞こえはいいのかな(なんか違う)。
それに新たな物質が作られ、それに商標登録がなされたりすると、そのほうが一般に広く知られ普及するということもあります。
例:みんな悩まされたDEHPはどう呼ばれているのか
RoHS指令で規制され、REACHでは認可物質で制限物質でもあるDEHP(CAS RN:117-81-7)はどう呼ばれるのでしょうか?
NITEのCHRIPでCAS RN:117-81-7で調べると名前は、以下のように出てきます。
日本語名:ビス(2-エチルヘキサン-1-イル)=フタラート
英語名:Bis(2-ethylhexan-1-yl) phthalate
いやいや聞いたことがないんですけど。でも、これがIUPAC命名法で決められた名前なんです。ですが、DEHPにこの名前を用いているものはあまり見たことがありません。DEHPは、当然略称なんですが、一番多く使われているんじゃないかな。
CHRIPの別名の項目には、非常にたくさんの別名が示されています。いやいや多すぎでしょ。
ジ-2-エチルヘキシル=フタラート
フタル酸ジオクチル
フタル酸ジオクチル(Dop)
フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)
フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)
ベンゼン1,2ジカルボン酸ジオクチル
DEHP
DOP
Bis(2-ethylhexyl) phthalate
Bis-(2-ethylhexyl)phthalate
DEHP
Di(2-ethylhexy)phthalate
Di(2-ethylhexyl) phthalate
Di(2-ethylhexyl)phthalate
di-2-ethylhexyl phthalate
Diethylhexyl phthalate
dioctyl benzene-1,2-dicarboxylate
Dioctyl phthalate
Dioctylphthalate
DOP; DEHP
こんな別名全部覚えてられませんよね。ということで、CAS RNもしくはCAS No.の出番になります。CAS RNは、必ずしも単一の物質を示すとは限りませんが、通常、一意に物質を決めてくれます。
ですので、色々な情報源に(例えばSDSとかに)上のどの表現が使われていたとしても、CAS RN:117-81-7と書かれていれば、以下の構造式で示される化合物になります。
ですので、もし書いてある場合は、CAS RN(もしくはCAS No.)で検索するほうが、どんな化学物質かすぐにわかります。
化学における数え方
次に、化学では、分子を構成しているある原子やある原子集団のユニットの数を数えるときに、数を示すというか何倍かを示す接頭詞接頭語が使われます。まあ、他の分野でも使われている場合も多いと思います。
管理人も今回調べてわかったんですが、これはギリシャ語のものとラテン語のものがあるようですね。
ある分子になにかが結合している場合
1個 mono モノ(特別な時以外省略されると思います)
2個 di ジ :上のDEHPの例では、Di(2-ethylhexy)phthalateですから、2-ethylhexyというユニットが2個何か(phthalate)にくっついていることがわかります。
3個 tri トリ
4個 tetra テトラ
5個 penta ペンタ
6個 hexa ヘキサ
7個 hepta ヘプタ
8個 octa オクタ
9個 nona ノナ
10個 deca デカ
化学においてはほかにもいろいろな接頭語、接尾語が使われます。特に有機化学では顕著でそれがわかると何となくどんな分子なのかわかるかもしれません。
本当にこんな超初級化学講座はいるのか?
今までこの製品含有化学物質担当になっちゃった人のための超初級化学講座を3回やってきました。でも、管理人はちょっととだけ疑問に思っています。
製品含有化学物質管理の仕事って、化学品が自社の商品である場合を除けば、別にDEHPがどんな化学式でどんな化合物かなんて知らなくても、品質管理などのいわゆるmanagement systemの考え方を知っていればある程度はできます。
もちろん知っていたほうが、少しはいいでしょうけど。
逆にちょっとでも化学を知っている人にはこのシリーズ全くつまらないと思います。
で、このシリーズ必要ですか?というアンケートです。いつものように、新たな回答を足すこともできます。
ご協力よろしくお願いします。
コメント
「化学における数え方」が大変勉強になりました。
あの物質は分子が何個結合しているんだなぁと思いながら読ませていただきました。
>もちろん知っていたほうが、少しはいいでしょうけど。
知識があると何かと規制物質の調査の時などに役立つので
時間があれば続けていただけると助かります。
通りすがり購読者様、コメントありがとうございます。管理人です。
コメントを頂けると、やる気が出ます(^^)。
少しでもお役に立てているならうれしいです。
このシリーズ続けて欲しいという方が、それなりにいそうなので、もうちょっとだけやろうか考え中です。
いつも大変お世話になっております。
超初級化学講座(その2)でも仰られていた通り「化学の知識がほぼなくても会社の仕組みや品質管理、仕事の進め方をある程度知っていれば可能です。」と業務にあたっているうちの一人です。
自ら調べたら分かる事ばかりかも知れませんが 成程なぁ~ そうなんだ~ と思う事もあるのでたまにで構いませんので更新頂けると有難いなと思います。
ブログ更新は大変だと思いますが毎日見てますのでこれからも宜しくお願い致します。
閲覧専任品管人様、コメントありがとうございます。管理人です。
毎日見ていただけているとのこと、うれしい限りです。
じゃあ、このシリーズも頻度は自分のペースですが、もう少しだけやろうかな(^^)。
ご返信有難う御座います。
化学知識がほぼ無くても〜の知識で普段やっているいますがこちらのブログと色々な物質が幸い?非含有な業界で助かっております。
上記理由の為、膨大に来るchemsherpaのscipやらimdsやら最近はtscaやuv-328(スイスの奴もう来たか…)の非含有書類の発行をサクサク進める事が出来、有難い反面、
対象該当物質の無い業界故、依頼が来ても前後サプライチェーンや社内の理解が無く、文系脳味噌の為説明に困る時が多々あります。
その際にこんな分かりやすいブログがあるよ〜と宣伝して説明の手間を省けていますので 分かりやすいシリーズは是非手隙(無いと思いますが…)の際に宜しくお願いします。
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