フタル酸エステル(特にDEHP)について その4です。
RoHS その3でも書いたように、4つのフタル酸エステルが来年(2019年7月22日)から欧州のRoHS指令で制限される物質になります。
そして、フタル酸エステル(特にDEHP)について その2で書いたように、世界でまだたくさん作られていて、身近にも多く使われているものがある物質です。
RoHS指令の対象となる電気製品は非常にたくさんの部品で作られているために、DEHPが含まれているかもしれない部品は実は沢山あります。代表的なものは塩ビのケーブルなどですが、制限されるフタル酸エステルはそれ以外の樹脂などにも含まれる可能性があるために、電気電子製品から完全に対象のフタル酸エステルがなくなっているかどうか確認するのは容易なことではありません。
更には、DEHPなどのフタル酸エステルは、JASIS 2018に行ってきましたのフォーラムでも話題になったように、分析するのも大変なうえに、移行と呼ばれる問題も存在しています。
移行というのは、樹脂などに入っているフタル酸エステルが、他の樹脂に接触しているもしくは同じ密閉系の中にある場合、そちら側に移動してしまう現象をいいます。温度が高かったり、圧力がかかっていたりすると移行が早まるとされます。
それでは、移行してしまったフタル酸エステルのRoHSでの扱いはどうなるんだということになります。もしその量が、制限値である0.1wt%を超えてしまった場合は、違反扱いになると考えている日本企業は多いようで、いろいろとお願いが出ているようです。
個人的な意見ですが、移行のリスクを考える前に自分の製品の構成部品の原材料から本当にRoHS指令で制限されることになる4つのフタル酸エステルが本当に代替できているのか確認することの方がより重要と思います。
フタル酸エステル(特にDEHP)について は、また新たな動きが入ったら書こうと思いますが、いったんは今回で終了し別の話題に移ります。
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