REACH 制限物質(その12)は、Entry58のAmmonium nitrate (AN)、硝酸アンモニウムです。
無機の塩で爆弾の原料ですね。
Entry58 Ammonium nitrate (AN)の基本情報
それではまず、Entry58 Ammonium nitrate (AN)についての基本情報を見ていきましょう。
化学物質名:Ammonium nitrate (AN)、硝酸アンモニウム
別名:Nitric acid ammonium salt、硝安
化学式:NH4NO3
分子量:80.04
CAS RN:6484-52-2
EC No.: 229-347-8
融点:169-170 °C
沸点は、まあ分解してしまうので常圧ではデータがないことになっているようです。
Entry58 Ammonium nitrate (AN)の危険性(概略)
ECHAのSubstance Infocardによれば、この物質は火災(酸化剤)を激化させ、重篤な眼刺激性を引き起こす可能性があるとされています。
また日本の職場のあんぜんサイトのSDSによれば、上記の危険性に加え、長期にわたる、又は反復ばく露による血液系の障害についての危険性も記述されています。
硝酸アンモニウムは、過去のいろいろな爆発事故に関係している化学物質です。直近の例でいえば、今年(2020年)の8月にレバノンの首都ベイルートで起こった大規模爆発も硝酸アンモニウムが原因といわれています。
どこに使われているか
ECHAのSubstance Infocardによれば、この物質はREACH規則に登録されていないため、ECHAはまだ登録書類からこの物質に関するデータを受け取っていません、と書かれています。
いや本当かよ!と思わず突っ込みを入れたくなってしまいます。結構一般的な化合物ですよね。
使用用途としては、肥料、爆発物、接着剤、シーリング材、水処理薬品、洗濯・洗浄製品などが記載されています。またほかの化学物質の製造にも使用されます。
NITEのCHRIPによれば、用途としては、肥料、火薬原料、硝酸塩原料、ペニシリンの培養、冷却剤が書かれています。
制限条件
Entry58 Ammonium nitrate (AN)の制限条件は以下のようなものです。
- 2010年6月27日以降、物質として、または硝酸アンモニウムに対して28重量%以上の窒素を含む混合物として、固形肥料として使用するために、ストレートでもコンパウンドでも、欧州議会及び理事会の規則(EC)No 2003/2003の附属書III(*)に規定されている高窒素含有量の硝酸アンモニウム肥料の技術的規定に準拠していない場合は、市場に出してはならない。
- 物質として、または硝酸アンモニウムに対して16重量%以上の窒素を含む混合物として、以下のものを除いて2010年6月27日以降に上市してはならない。
(a) 理事会指令93/15/EEC (**)に基づいてライセンスまたは認可された自然人または法人を含む川下のユーザーおよび販売業者。
(b) フルタイムまたはパートタイムで、必ずしも土地面積の大きさとは関係のない農業活動での使用のための農家。
本号の目的のために
(i) 「農民」とは、自然人もしくは法人、または自然人もしくは法人のグループを意味するものとする。人であっても、そのグループとそのメンバーに与えられた法的地位は、以下の通りです。共同体の領域内にある国内法上の保有者 条約第299条に規定する農業活動を行う者
(ii) 「農業活動」とは、農作物の生産、飼育若しくは栽培(収穫、搾乳、繁殖、農業目的のための動物の飼育を含む)、又は理事会規則(EC)第1782/2003号(***)の第5条に基づき定められた良好な農業及び環境条件で土地を維持することを意味する。
(c)園芸、温室での植物栽培、公園、庭園、スポーツ場の整備、林業、その他これらに類する活動などの専門的な活動に従事する自然人または法人。
- ただし、第2項の制限については、加盟国は、2014年7月1日までは、社会経済的な理由から、自国の領域内で上市されている物質及び混合物について、硝酸アンモニウムに関連して窒素の重量比20%までの制限を適用することができる。
それらは、その旨を欧州委員会及び他の加盟国に通知しなければならない。
(*) OJ L 304, 21.11.2003, p. 1.
(**) OJ L 121, 15.5.1993, p. 20.
(***) OJ L 270, 21.10.2003, p. 1.
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