REACH 制限物質(その8)は、Entry63のLead and its compoundsです。
日本語では、鉛およびその化合物というやつです。いや鉛の化合物っていったら、管理人の知らないものも含めいっぱいあるでしょ。
Entry63 鉛の基本情報と物理・化学的特性
鉛化合物はいっぱいあるので、基本情報とか言われても無理なので、ここでは単体物質の鉛についてだけ記述します。
化学物質名:Lead、鉛
化学式:Pb
原子量:207.2
CAS RN:7439-92-1
EC No.: 231-100-4
融点 327.4℃
沸点 1740℃
金属の割には、融点は低め?
鉛の危険性(概略)
鉛の危険性は、古くから鉛中毒として認識されています。鉛は、生殖毒性があり、胎児に損傷を与える可能性があり、長期的または反復的な曝露によって臓器の損傷やある種全身毒といった様相を呈します。癌を引き起こす可能性があり、授乳中の子供にも害がある可能性があります。
また、長期的な影響を伴う水生生物に対して非常に有毒です。
上記のような毒性は、単体の鉛だけでなく、鉛化合物にも共通に見られます。
また、鉛は、SVHCでもあります。他にもSVHCである鉛化合物は多く、鉛の他に以下のものがあげられています。
- ヒ酸鉛
- クロム酸鉛
- CIピグメントレッド104
- CIピグメントイエロー34
- 二アジ化鉛(Ⅱ)、アジ化鉛(Ⅱ)
- ピクリン酸鉛(Ⅱ)
- スチフニン酸鉛
- ヒ酸鉛(Ⅱ)
- メタンスルホン酸鉛(Ⅱ)
- ジオキソ(フタラト)三鉛
- 塩基性酢酸鉛
- ジオキソ(ジステアラト)三鉛
- 脂肪酸鉛塩. (炭素数16~18のもの)
- ビス(テトラフルオロホウ酸)鉛
- シアナミド鉛
- 硝酸鉛(II)
- 酸化鉛(II)
- 塩基性硫酸鉛
- チタン酸鉛(II)
- ジルコン酸チタン酸鉛
- 酸化鉛(赤色)
- 四塩基性硫酸鉛
- C.I.ピグメントイエロー41
- ケイ酸とバリウムの塩(1:1)(鉛ドープ)
- ケイ酸と鉛の塩
- 亜硫酸と鉛の塩(二塩基性)
- 四エチル鉛
- 三塩基性硫酸鉛
- 塩基性炭酸鉛(II)
- 二塩基性リン酸鉛
- 酢酸鉛(II)
管理人、ボケボケですから抜けていたりするかもしれません。ですが、現時点でSVHC(認可候補物質)は209物質ですから、鉛が入っていなければ調査の15%は終わってしまったことになります。えっ、そういう問題じゃない?
どこに使われているか
鉛およびその化合物は、色々な場所に使われてきました。金属鉛、それ自体でも、釣りの重りとか散弾銃の玉とかはんだなどの合金用途、放射線の遮蔽版などいろいろ使われてきたわけです。
さらに、金属以外でも、顔料とか安定剤とか、ガラスの成分とか、自動車(鉛電池を筆頭に)、電子機器、建築資材とまあ挙げればいろんな用途に鉛化合物も使用されてきました。
鉛は安価な重金属であり、融点も低く扱いやすいため多少のリスクはあってもいろんな場所に使われてきたわけです。
ECHAの鉛のSubstance Infocardによれば、欧州域内での製造・輸入は毎年100万tから1000万tであり、臂臑が重いことを考えても相当な量が使用されていることが判ります。
制限条件
鉛およびその化合物の制限条件は以下のように定められています(管理人の翻訳なのであまり当てにしないように。特に今回は、長文だったのでGoogle翻訳などの機械翻訳を多用していますのでご注意ください。)。
- 宝飾品の個々の部品に金属換算量として0.05wt%以上の鉛を使用、上市してはならない。
- 第1項の目的のために
(i) 「宝飾品」には、宝飾品及び模造品及びヘアアクセサリーを含むものとする、以下のようなものを含む
(a) ブレスレット、ネックレス、指輪
(b) ピアスジュエリー
(c) 腕時計、リストウェア
(d) ブローチ、カフスボタン
(ii) 「個々の部品」には、宝飾品の個々の構成部品だけでなく、宝飾品が作られている材料も含まれるものとする。 - 第1項は、市場へ上市または宝飾品の製造に使用する場合には、個々の部品についても適用する。
- 適用除外として、第 1 項は次のものには適用されないものとする。
(a) 理事会指令69/493/EEC(*)の付属書I(カテゴリー1,2,3,4)に定義されているクリスタルガラス。
(b) 消費者がアクセスできない時計の内部部品。
(c) 合成品ではない貴石、半貴石(CNコード7103、規則(EEC)No.2658/87に規定されている)で、鉛やその化合物、またはこれらの物質を含む混合物で処理されていないもの。
(d) 少なくとも500℃以上の温度で溶融した鉱物の融解、ガラス化または焼結から生じたガラス化可能な混合物と定義されるエナメル。 - 第 1 項は、2013 年 10 月 9 日以前に初めて市場に上市された宝飾品及び 1961 年 12 月 10 日以前に製造された宝飾品には適用されない。
- 2017年10月9日までに、欧州委員会は、代替品の利用可能性や第1項で言及された成形品からの鉛の移行を含む新たな科学的情報に照らして本項目を再評価し、適切であれば、それに応じて本項目を修正するものとする。
- 金属換算量として0.05wt%以上の鉛が含まれている成形品で、かつ、通常の使用条件又は合理的に予見可能な使用条件の間に、子供が口に入れる可能性がある場合には、上市してはならないし、一般に供給される物品に使用してはならない。
その制限は、コーティングされているかコーティングされていないかに関わらず、そのような成形品又は成形品のそのようなアクセス可能な部分からの鉛の放出率が、毎時 0,05 μg/cm²(0,05 μg/g/h に相当)を超えないことが証明できる場合には適用されないものとし、コーティングされた成形品の場合、コーティングは、この放出率が、成形品の通常の又は合理的に予見可能な使用条件の少なくとも 2 年間の期間、超えないことを確実にするのに十分であることを証明できる場合には適用されないものとする。
本項の目的のために、成形品又は成形品のアクセス可能な部分は、一寸法が5cmより小さいか、またはその大きさの着脱可能又は突出した部分を有する場合には、児童が口の中に入れることができると考えられる。
- 第 7 項は、次のものには適用されない。
(a) 第 1 項が適用される宝飾品
(b) 指令 69/493/EEC の付属書 I(カテゴリー 1、2、3 及び 4)に定義されているクリスタルガラス。
(c) 合成品でない貴石及び半貴石(CNコード7103、規則(EEC)No.2658/87に規定されている)で、鉛やその化合物、またはこれらの物質を含む混合物で処理されていないもの。
(d) 少なくとも500℃以上の温度で溶融した鉱物の溶融、ガラス化または焼結から生じるガラス化可能な混合物と定義されるエナメル。
(e) 南京錠を含む鍵及びロック
(f) 楽器
(g) 黄銅合金を構成する成形品およびその部品であって、黄銅合金中の鉛(金属換算量として)の濃度が重量比で0.5%を超えないもの。
(h) 筆記具の先端
(i) 宗教用品
(j) 携帯用の亜鉛-炭素電池及びボタン電池
(k) 以下の範囲内の成形品:
(i) 指令 94/62/EC;
(ii) Regulation (EC) No 1935/2004;
(iii) 欧州議会及び理事会の指令2009/48/EC (**);
(iv) 欧州議会・理事会指令 2011/65/EU (***) - 2019年7月1日までに、欧州委員会は、代替品の利用可能性や第7項で言及された、コーティングの完全性に関する要求を含む、成形品からの鉛の移行を含む新たな科学的情報に照らして、本項目の第7項及び第8項(e), (f), (i), (j)を再評価し、適切であれば、それに応じて本項目を修正する。
- 第 7 項は、2016 年 6 月 1 日以前に初めて市場に上市された商品には適用されない。
(*) OJ L 326, 29.12.1969, p. 36
(**) 玩具の安全性に関する2009年6月18日の欧州議会及び理事会指令2009/48/EC(OJ L 170, 30.6.2009, p.1)
(***) 電気・電子機器における特定有害物質の使用制限に関する2011年6月8日の欧州議会及び理事会指令2011/65/EU(OJ L 174, 1.7.2011, p.88)。
この制限は、成形品に対する制限
ああ、この制限はすごく長々と書いてあり、結構苦労しますね。
ですが、この制限は、成形品に関する制限で、特に第1項にある宝飾品と第7項にある子供に対してリスクのある成形品に関する制限となっています。
大きな項目はこの2項目で、それ以外の部分はそれらに付属する条件が延々と書かれているという構造になっています。
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