REACH 制限物質(その3)は、Entry71の1-Methyl-2-pyrrolidone (NMP)です。
別に意図したわけではないのですが、なんとなく、Entry69から順番になってしまいました。そして今回の1-Methyl-2-pyrrolidoneもSVHCです。
Entry71 1-Methyl-2-pyrrolidoneの基本情報と物理・化学的特性
1-Methyl-2-pyrrolidone(1-メチル-2-ピロリドン)は、良くN-Methyl-2-pyrrolidone(N-メチル-2-ピロリドン)とかN-methylpyrrolidone(N-メチルピロリドン)とか呼ばれ、NMPと略されることもしばしばあります。
化学物質名:1-Methyl-2-pyrrolidone(1-メチル-2-ピロリドン)
化学式:C5H9NO
分子量:99.13
別名:N-Methyl-2-pyrrolidone(N-メチル-2-ピロリドン)
N-methylpyrrolidone(N-メチルピロリドン)
NMP(これは略称というべきかもしれません)
別名は、他にもたくさんあります。
CAS RN:872-50-4
EC No.:212-828-1
融点:-24℃
沸点:202℃
ということで、常温では液体です。
この物質は、色々なものと混和するとともに結構いろいろなものを溶解するため、溶媒としても使用される場合があります。
1-Methl-2-pyrrolidoneの危険性(概略)
この物質は、皮膚への刺激、眼への強い刺激があるほか、生殖機能や胎児への悪影響のおそれがあります。また、長期や反復曝露による臓器への障害のおそれもあります。
化学的危険性として可燃性があります。
それとこの物質は、既にSVHCに指定されています。指定理由は、生殖毒性によるとされています。
また日本の規制では、化審法の優先評価化学物質となっているほか、労働安全衛生法では、名称等を表示すべき、通知すべき危険有害物になっていて、リスクアセスメントを実施しなければならない物質です。
消防法では、第4類 第三石油類です。
どこに使われているか
1-Methl-2-pyrrolidone欧州域内における輸入生産は、1万から10万t/年であり、それほど多いわけではありません。
ECHAのSubstance Infocardによれば、消費者製品には使われていないということなので、通常生活で我々がこの物質にお目にかかることはありません。
一方、専門職というかいろんな業界で使用されます。pH調整剤とか水処理剤とか他の化学物質を製造するために用いられます。
また、次のようなものを作る事業所で使われます。半導体、洗浄用製品、コーティング用製品、金属および非金属の表面処理剤など。また、光学機器を作る事業所でも使われるようです。
NITEのCHRIPでは、用途として樹脂溶剤,アセチレン溶剤,MOS半導体製造用溶剤,化粧品基剤が挙げられています。
ということで半導体や電気電子機器の製造にも使われるのですが、溶剤や別の化学製品を作るために使用されることが多いようです。
制限条件
1-Methl-2-pyrrolidoneの制限条件は、以下のように定められています(管理人の翻訳なのであまり当てにしないように)。
1.2020年5月9日以降、それ自身の濃度および混合物中の濃度として0.3%以上の濃度のものは、製造者、輸入者、川下ユーザーは、次のような関連する安全性報告書、および安全データシートを含まない限り上市できない。それらは、導出無毒性量(DNELs)である、労働者に対して吸入曝露14.4 mg/m3および経皮曝露4.8 mg/kg/dayに関するものである。
2.2020年5月9日以降、それ自身の濃度および混合物中の濃度として0.3%以上の濃度のものは、製造者及び川下ユーザーは、適切なリスク管理措置を行い、労働者への曝露がパラグラフ1で示された、導出無毒性量(DNELs)を下回ることが確認された適切な運用条件を用意しない限り製造、使用してはならない。
3.パラグラフ1、2の特例として、この義務は、ワイヤーコーティングのプロセスで、溶媒、および反応物としての使用、もしくは使用のために市場に出すことは、2024年5月9日から適用されます。
1-Methl-2-pyrrolidoneは、事業所での使用は制限されている
ここからは、管理人の主観が入っていますので、決して鵜呑みにしないでください。参考情報程度であり必ず自分で判断して下さい。プライバシーポリシーにも書いてある通り、管理人は一切の責任を負いません。SVHCの解説の際は、必ずこの注意書きが入ります。
1-Methl-2-pyrrolidoneは、常温で液体であり、危険性が高い化学物質であるために、日本でも欧州でも管理下での使用が必要とされています。
しかも、使用されている場所は、いわゆるものを作る製造事業所が大部分です。
かなり下流の成形品までになった製品の中に含まれることは多いとは思えませんが、事業場で使用される方は安全面に気を付けましょう。
コメント