REACH 制限物質(その2)は、Entry70のOctamethylcyclotetrasiloxane (D4)とDecamethylcyclopentasiloxane (D5)です。
あー、前回のMethanol(メタノール)よりだいぶ面倒くさいな。これだから、化学物質は嫌いじゃ。えっ、違う?
Entry70 Octamethylcyclotetrasiloxane (D4)とDecamethylcyclopentasiloxane (D5)の基本情報と物理・化学的特性
Entry70には、Octamethylcyclotetrasiloxane (D4)とDecamethylcyclopentasiloxane (D5)の二つの物質が収載されています。これは、化学物質としての挙動がよく似ているためです。
また、いちいち長い名前が書くのが面倒くさいのでD4とD5の略称も使用します。
そこで、当ブログでも1個1個別々に記するのでは無くて、並列に書いていこうと思いますが、D4,D5の順に書いていきます。
化学物質名:Octamethylcyclotetrasiloxane (D4) (オクタメチルシクロテトラシロキサン),
Decamethylcyclopentasiloxane (D5) (デカメチルシクロペンタシロキサン)
化学式:C8H24O4Si4 (D4), C10H30O5Si5 (D5)
分子量:296.62 (D4), 370.77 (D5)
別名:2,2,4,4,6,6,8,8-Octamethyl-1,3,5,7,2,4,6,8-tetraoxatetrasilocane (D4)
2,2,4,4,6,6,8,8,10,10-decamethyl-1,3,5,7,9,2,4,6,8,10-pentaoxapentasilecane (D5)
CAS RN:556-67-2 (D4), 541-02-6 (D5)
EC No.:209-136-7 (D4), 208-764-9 (D5)
今回の化学物質名は、一般に言われている名称でIUPAC命名法によるものではありません。別名で書いてある方が、IUPAC命名法によるもののはずですが、とても長くて書く気になりません。
D4、D5は、名前からわかる通りシロキサン結合(≡Si-O-Si≡)を持つ環状化合物です。
Octamethylcyclotetrasiloxane (D4), Decamethylcyclopentasiloxane (D5)の危険性(概略)
D4は、生殖毒性があると疑われています。D4、D5はともに、難分解性で生態蓄積性と毒性があるとされています。
D4はまた、長期的な水生生物への悪影響の可能性があります。
それとこの二つの物質は、既にSVHCに指定されています。理由は、両方とも難分解性で高蓄積性および毒性を有する物質(PBT)、極めて難分解性、高い生体蓄積性を有する物質(vPvB)となっています。
ついでに言えば、D6であるDodecamethylcyclohexasiloxaneも同時にSVHCとなっています。
どこに使われているか
欧州域内における輸入生産は、D4は、10万から100万t/年であり、D5は、1万から10万t/年となっています。
結構な量ですね。
身近なところで言えば、例えば消費者用の製品で言っても、次のような製品に含まれています。
D4: 化粧品および身だしなみ用の製品、洗濯および洗浄製品、およびつや出し剤およびワックス。
D5: 化粧品および身だしなみ用の製品、洗浄および洗浄製品、つや出し剤およびワックス、医薬品および繊維処理製品および染料。
D4、D5は、シリコーン系の製品、ゴムとか接着剤とかグリスとかを製造する際の中間体として使われる場合があります。また、シリコーン系の製品には量は別にして含まれている場合があるはずです。
日本には、シリコーン工業会があるのでそこでは、シリコーン系の化学物質や製品について詳しいことが書かれていますので参考にしてください。
制限条件
D4、D5の制限条件は、以下のように定められています(管理人の翻訳なのであまり当てにしないように)。
1.2020年1月31日以降、いずれかの物質を0.1重量%以上含む洗浄用(wash off)化粧品を市場に出してはならない。
2.ここで言う「洗浄用化粧品」とは、規則(EC)No 1223/2009(化粧品規制)の条項2(1)(a)で定義されている化粧品を意味し、通常の使用では、使用後は水で洗い流されるものです。
管理人おじさんなので、化粧品の使い方なんてわかんないよー。訳してても、なにがなにやら、これって日本だとクレンジングとか言われているようなものなのか?
女性の方、マジで教えてください。
D4、D5、D6はシリコーン製品を扱っている場合は注意
ここからは、管理人の主観が入っていますので、決して鵜呑みにしないでください。参考情報程度であり必ず自分で判断して下さい。プライバシーポリシーにも書いてある通り、管理人は一切の責任を負いません。SVHCの解説の際は、必ずこの注意書きが入ります。
D4、D5は、制限物質としての範囲は非常に狭いので、気をつけなければいけない人は限られますが、D6も含めSVHCとしてはそうはいきません。
シリコーン系の製品に関して含まれていない可能性がゼロとは言えないばかりか、複合材料にも入っていないとは言い切れません。
管理人は、かなり川下の企業の方も注意しなければならない物質の一つだと思っています。
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